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私営保険は、民間の保険会社が販売・運営する保険で、主に生命保険と損害保険を扱う。生命保険とは人の生死に関して一定額の保険金を支払う保険で、損害保険とは一定の偶然の事故によって生ずることのある損害を填補する保険である。 日本で保険を販売する保険会社は、保険業法により、生命保険業免許を受けた生命保険会社、損害保険業免許を受けた損害保険会社、外国保険業者のうち内閣総理大臣の免許を受けた外国保険会社に分けられている。また、日本の保険会社には、営利(株主に損益帰属)を目的とする株式会社の形態をとる保険会社と、相互扶助(契約者に損益帰属)を目的とする相互会社の形態をとる保険会社がある。相互会社は保険会社にのみ認められた会社形態であり、理論的には非営利法人(中間法人)と位置付けられる。現在、相互会社は生命保険会社にのみ存在し、損害保険相互会社は存在しない。 もっとも、1995年(平成7年)に公布され翌1996年(平成8年)に施行された新・保険業法により、多くの面で相互会社と株式会社を近接させ、相互会社と株式会社との双方的な組織変更をできるようにしたため(それまでは株式会社から相互会社への組織変更だけが可能だった)、両者の違いはあまり大きくない。また、この新・保険業法では、生命保険会社と損害保険会社の両者が、ともに扱うことのできる保険分野(いわゆる第三分野保険)を定めた。第三分野保険とは、生命保険分野・損害保険分野の両者にまたがる保険で、医療保険、介護保険、がん保険などがこれにあたる。 なお、私営保険であっても、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)や地震保険など、社会政策的目的を持って定められた保険もある。また、かつては政府が運営していた簡易保険(簡易生命保険)は、公営保険の一つであった。しかし、2007年(平成19年)10月1日からは株式会社かんぽ生命保険が取り扱っているため、私営保険に分類される[6]。 このほか、投資信託 という保険もある。再保険とは、保険者が保険契約(元受保険)によって引き受けた責任の一部又は全部を他の保険者に保険させることを目的とする保険である。再保険は、保険が持つリスク分散機能をさらに高める作用を持つ。再保険は保険を対象とした保険なので生命保険ではないが、例外的に生命保険の再保険は生命保険会社が取り扱うことができる。再保険は私営保険として営まれるほか、公営保険としての再保険もある(地震保険に関する法律3条)。 確率論・統計学で確立されている大数の法則をわれわれの社会におけるさまざまなリスクに適用すると、個々の局面で捉えると予測困難で、かつ致命的な損害になりうるようなリスクであっても、同等の危険を十分な数集めることによって確率的に予測可能になり、また経済的損失も変動の少ないものになりうると考えられる。 大数の法則とは、観測回数に対するその資産運用 の実現回数の割合は、観測回数を多くすると計算上の確率に近づくという法則である。たとえば、サイコロを「n回」振って、1の目が出た回数を「r回」としたとき、1の目が出た回数の割合「n分のr」は、何回も何回もサイコロを振ってnを大きくしてゆけば、1の目が出る計算上の確率である「6分の1」に近づいてゆく。これを保険にあてはめると、ある保険事業において結ばれた保険契約のうち、ある期間に保険事故が発生する件数の割合[7]は、保険契約の件数が充分に多ければ、保険事故の発生する計算上の確率に近づくということになる。 特定の人について、保険事故が発生するかどうかや、いつ保険事故が発生するかなどは、事前に予測することができない。しかし、多数の人について統計をとり、過去の経験や資料なども加味すれば、一定期間にある保険事故がほぼ確実に発生する確率は算出することができる。この確率をもとにして、一定期間に保険者が支払わなければならない保険金の総額を予測し、これに見合う保険料を保険契約者から徴収すれば、保険料の総額から保険金の総額を差し引いた収支は均衡し、保険事業は継続的に行うことができるはずである。 現代の保険は、基本的にこのような考えに基づいて運営されているものである。具体的には、事業として公平かつ安定に営むために、以下の原則の遵守が要請されている。 契約者と保険会社の外国為替証拠金取引 に締結される保険契約において、保険金と保険料の間では以下の関係が満たされることが要請される。これを給付・反対給付均等の原則と呼ぶ。 P = ωZ ここでPは保険料、ωは定量化された保険事故のリスク、Zは保険金を表す。この原則は、保険事故発生のリスクを媒介として保険金(給付)と保険料(反対給付)が等しくなるように要請されていることを示す。これによって保険に加入する者は右辺に示される不確実なリスクを左辺に示す確実な保険料と等価交換することができ、逆に保険者(たとえば保険会社)は確実な保険料を受け取る代わりにこのリスクを引き受けていることを意味している。この原則が守られているという条件において、契約者と保険会社のいずれにも不当な利得は発生せず、保険契約は公正であると言える。 保険会社が同一のリスクを持つ保険契約者の集団から集めた保険料の総額と、保険会社がその集団の中で支払う保険金の総額とは等しくなくてはならない。これを収支相等の原則といい、保険が継続的に安定して運営されるために要請される。収支相等の原則は、給付・反対給付均等の原則を時間的・空間的に拡張したものであり、後者は前者の十分条件であるが必要条件ではない。また、収支相等の原則は、同一のリスクを持つ保険契約者が集団として存在していることを前提としていることから理解できるように、同一のリスクを持つ者が多数集まることによって不確実なリスクを合理的に処理する仕組みであることを示している。 保険商品は、保険約款に基づいて締結される保険契約である。保険約款は保険会社が定めた契約条項であり、契約の基本的な内容を定めた普通保険約款と、普通保険約款の規定を変更または補完している特別約款(特約)から成り、契約者は約款上の個々の条文について保険会社との間で変更の個別交渉を行うことはできない。保険会社は経営上、多数の契約を迅速に締結する必要があるため、この契約方式を採用している。 一方で、保険契約者・被保険者にとって不利な条項となるおそれもあるため、次の規制が講じられている。